フィールドワーク機材の選び方2 〜焦点距離と被写体との距離〜

先日、東京藝術大学の仲間内で説明したカメラの選び方をFacebookに上げたところ、複数の方から「参考にしました」「どれを買ったら良いかしら」「買っちゃいました」という嬉しい連絡を受けました。

確かにフィルムカメラの時代と違って、今は誰でも簡単に大きいボケがあったり、パッキリ写っている美しい写真をデジタルカメラで撮れるようになりました。フィルムカメラを使うようになってそれをひしひし感じます。それゆえにカメラマンでなくとも、現場やイベント報告の写真をブログやHP、SNSでアップすることを迫られているのかもしれません。やってることはフィールドワークと大差ありません。あたかも「1億総フィールドワーカー時代」とでもいいましょうか。

というわけで、何回かに分けてフィールドワークに向けた機材の選び方や撮影方法をお伝えしてみようと思います。

第2回(第1回はGoogle Documentだったので後日整理します)はカメラを選ぶ際に常に問題になるレンズの焦点距離と被写体との距離(ワーキングディスタンス)です。焦点距離とは何かと言うと、レンズの合焦位置とセンサーとの距離 y です(図1)。これが小さいほど広い範囲が撮れる広角レンズ、大きいほど遠くから撮れる望遠レンズとなります。

詳しくはまた別途説明を試みますが、画角θが異なるだけでなくいろいろな効果が出てくるため、世のおマニヤ様たちはレンズをいっぱい持つ(ことを正当化できる)わけです。

このとき、次の式が成り立ちます。

式1: h1:x = h2 :y

式1':y = x / h1 * h2

式2:tanθ = h1/2 / x

図1 焦点距離 vs. 被写体との距離の関係

では我々一億総フィールドワーカーにはどんな焦点距離のレンズが必要なのでしょうか。

これは撮りたい絵と、被写体との距離に依存します。

仮に対象を人体に限定すると、考えられるショットの種類はざっくり7種類。写真で見てみましょう。

引き
フルショット

ニーショット
ミディアムショット

バストショット

アップショット

クローズアップショット
表1 ショットの種類と縦寸法 (b)

上から順番に上の表のイメージでした。整理してみると違いが見やすくなると思います。

仮にこの中でミディアムショットが撮りたいとしましょう。これなら画面内に複数人を入れることもできます。

ここで最初の式2が生きてきます。165cmの人のミディアムショットはおよそ50%の82.5cm。人体比率は8等身としています。人体が画面内で90%の高さを占めるとすると、被写体の位置ごとに何mmの焦点距離のレンズが必要かが見えてきますね。

それを計算したのがこの表2です。

表2 被写体との距離とショットごとの焦点距離

被写体から2mでミディアムショットを撮影する場合、52.4mm (35mm換算) 程度の焦点距離のレンズがあれば良いとわかります。もっと近づいて1mで撮影する場合は26.2mm、離れて8mで撮影する場合209.5mm程度のレンズがあればいいとわかります。

では逆に52.4mmのレンズを持っているときに、どんなショットが撮れるのでしょうか。

寄りに寄って0.5mの位置ではクローズアップショット、1mでバストショット、2mでミディアムショット、4mでフルショット、8mで引きが撮れるとわかります。

さて、簡単に「寄って」、「離れて」と言いましたが、貴方のフィールド環境はどうでしょうか?例えば獅子舞の奉納演奏などであれば、専用舞台の中で踊っている場合は寄れて2m程度かもしれません。ボリビアのカーニバルは前方に行進してくるので4mぐらいは距離を取らないと蹴り飛ばされます。地方創生系のツアーアテンドであれば、4mも離れて撮っていたら不審だし、0.5mまで寄るのもおかしい。だいたい1-2m程度の距離を保つのではないでしょうか。

インタビューをしてポートレートを撮るのであれば、対象に話しかけながら1-2mの位置から撮影するのがアマチュア的には普通でしょう(プロカメラマンは背景を狭く大きくぼかして整理するために望遠レンズを使います)。

どんな焦点距離のレンズを選ぶかおさらいです。

  1. まずはどんなショットが必要か分析してみましょう。論文や一般向けの書籍・雑誌、Facebookに流れてくるツアー報告の写真などが参考になると思います。